連載「日本のディテール」目次
«Prev || 1 || Next»

根継ぎ

根継ぎ

柱は下から腐る。地面に近いから雨や湿気があたりやすいのだろう。こうした柱の元だけを新しい部材に入れ替えることを根継ぎという。
寺社の古い門などを注意深く見ると丁寧な根継ぎをした柱を見かけることがある。
今ではツーバイフォーとやらで、根をつぐべき柱もなくなったが、少し前までは一般の住宅でも柱が傷むと補修したものだ。

根継ぎ


写真は京都の知恩院を訪ねたおりに、ふとしたことから発見した柱である。
石の根継ぎというのは初めて見た。
あまりに大仰な細工なので、根継ぎだが、最初から意図したデザインなのか、事務所に戻って聞いてみようと思ったが、例によって横着を決め込んで、次の機会に尋ねてみることにした。

ものを大切にする。それも傷んだら修理する。直した仕口も意匠のうち。素晴らしい文化だと思う。

authorInoh Ippei  linkLink  comment0  trackback 
category根継ぎ  time17:51

«Prev || 1 || Next»
株式会社古今研究所 代表取締役
稲生一平

アートディレクター、陶芸家
1942年生まれ。大手広告代理店に勤務後に独立。異色のプロデューサーとして活動。
> 続きを読む