連載「人と仕事」目次

i+iステーショナリー 誕生記

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「i+i」ブランドの由来

I+Iステーショナリー 手漉き和紙の洋封筒

まず、新参者のこのブランドの名前の由来を説明しておいた方が良さそうだ。 i+iというのは、二人の頭文字である。一人は奥出雲の斐伊川の里で江戸時代から続く紙漉七代目の井谷伸次さんだ。もう一人は私である。二人で、世界でも最高級のステーショナリーシリーズを商品化するためのブランド名として名付けたものだ。

和紙の美しさの虜になって久しい。
第一級の和紙の素晴らしさ、美しさをそのまま商品にできたらと思い、だいぶ前から商品化企画を考えてきた。

便せん封筒などの商品は当然のこととして考えられるのだが、何故か手が進まなかった。理由はと言えば至極単純なもので、和紙の便せんや封筒はたくさん市場にあって、新たな商品を送り出しても、競争のまっただ中へ自ら足を踏み入れるようなものだという事と、特に安価なものは、和紙とは名ばかりで、はたしてこれを和紙と呼ぶかという、紙の質の問題である。消費者はどこまで紙の質を理解しているのかという問題でもある。

現実に商品化するに当たって何が問題かと言えば、斐伊川和紙の井谷さんに頼んで上等の手漉和紙を使って便箋を作ると、とんでもない値段の便せんになってしまう。商売として考えると、とても成り立つ話ではない。

ある日銀座で、とても高価な便箋を売っているのを目にした。米国のブランドで最高級といわれているものだ。もちろん洋紙である。 和紙と洋紙を今の時代に比較することは、あまり意味を持たないのだが、和紙の組成、歴史、物語などどれをとっても話題にことかかない事は洋紙の比ではない。

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authorInoh Ippei  linkLink  comment0  trackback 

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株式会社古今研究所 代表取締役
稲生一平

アートディレクター、陶芸家
1942年生まれ。大手広告代理店に勤務後に独立。異色のプロデューサーとして活動。
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