連載「モノ語り」目次

香筒のモノ語り

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香のこと

決して万人向きではないが、好きな人にとって使えば使うほど愛着のもてる道具、大切にしながらも使うことで避けられない小さな傷や摩耗が美しさを増していくようなものを意図してデザインしている。(写真1)

香筒
(写真1)

お香の世界はとても深いもので、香道などの世界に至っては私など手も足も出そうもない。そう言いながらも、一通り調べてみると正倉院の蘭奢待(らんじゃたい)から最新のアロマテラピーまで、日本人と香りの歴史はゆうに千年を超えるものがある。
ここでも、改めて世界有数の工芸、文化をもつ国、日本の魅力の一端を垣間見ることができる。

難しいことはさておいて、私と香の話を少しばかりしておこう。仏壇に線香は、あたりまえだが、書を遊ぶ時の香もとても良い。香が欠かせなくなったのは、ある日座禅を初めてからだ。何があろうと毎日座ると決めて以来実行している。

座禅では、大まかな時間の把握のために線香を焚く。いわゆる普通の長さのお線香で、だいたい30分といったところだ。
今風で言えば、携帯電話のタイマーでもセットして座れば同じ事なのかもしれないが、そこには時間管理を超えた、えもいわれぬ世界がある。沈香とか伽羅など、高級なお線香というのは、とんでもなく高価なものなのだということも学ぶはめになったが、香というのが、これほど心地よいものなのかという事にとても感動している。心身ともに癒される。ただ時に朝晩を含む、毎日ともなると消費量も多いので、あまり高価なものばかりを焚くわけにもいかず、その日の気分で愛用の二三種類を使い分けている。

香筒
(写真2)
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「香筒」の商品情報は、桜ショップオンラインにてご覧いただけます。

authorInoh Ippei  linkLink  comment0  trackback 
category香筒  time14:55

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株式会社古今研究所 代表取締役
稲生一平

アートディレクター、陶芸家
1942年生まれ。大手広告代理店に勤務後に独立。異色のプロデューサーとして活動。
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