連載「モノ語り」目次
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「MANABI」のデザイン

椅子 MANABI
座面の後部が高く、自然と姿勢が良くなるデザイン

前に触れたが、これはくつろぎのための椅子ではなく、ちょっとした仕事のための椅子だ。
自分も高齢者の入り口をくぐる年齢になると、腰のことや、姿勢のことを思って椅子にはどうしても神経質になる。
この椅子では、お寺ほどではないが、僅かに座面の後部を高くしている。それだけでも十分に背筋に良い。
そして背当てというか腰当てがしっかりと腰を支えてくれる。人間はおよそじっとしていないので、四六時中きちんと座っているわけではないが、時折きちんと座ると、まことに具合の良い椅子に仕上がったと思っている。

椅子の座面
後部が高い椅子の座面
椅子の腰当て
曲線の腰当てが腰をしっかり支える

初期のデザインでは、この背当ての部分を木で考えていた、自分で作ったモックアップもそうなっている。(下の写真参照)
だが試作を経て商品化に当たっては座面と同じ布で貼りぐるみとした。腰へのフィット感がとても良い。
微妙なカーブを描く背もたれと座面は桜製作所の専門の張り職人の丁寧な手仕事だ。

布の貼りぐるみの腰当て
当初のデザインでは、腰を支える部分は木の削り出しで考えていたが、
感触を考えて、最終製品では布の貼りぐるみとした
椅子のモックアップ
自分で作った椅子のモックアップ。 最終商品とデザインはほとんど変わっていない
椅子の横棒
前のシートの下の横棒は、なくても十分な強度が得られることから
最終商品からは削除している
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「文房シリーズの椅子・スツール MANABI/CHOTTO」の商品情報は、桜ショップオンラインにてご覧いただけます。

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株式会社古今研究所 代表取締役
稲生一平

アートディレクター、陶芸家
1942年生まれ。大手広告代理店に勤務後に独立。異色のプロデューサーとして活動。
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