連載「モノ語り」目次
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椅子選びは大変

本当に自分にあった椅子を見つけることは容易なことではない。多くの場合は、椅子に自分を合わせていると言った方が近いだろう。

椅子はデザインと同時に座り心地という、とても難しい問題がある。座り心地というのはやっかいで、その椅子が、どんな姿勢のためにデザインされているかによって変化する。くつろぐための椅子か執務のための椅子か、同じくつろぐと言っても、体が包まれるようなくつろぎを求めるのか、午後のお茶をゆっくり飲みたいというのか、人間が快適だと思う姿勢は微妙に異なる。更に体型の個人差を一つの寸法で解決することは困難なので、万人にかけ心地の良い椅子というのも難しい。一例をあげれば、アメリカ市場の椅子と日本市場の椅子では座面の高さ(シートハイ)が異なる。

では椅子選びはどうすればいいのかということになるのだが、私はデザインの好みももちろんだが、ともかく座ってみることだと思う。とても大切なことは、ホームユースであれば、必ず靴を脱いで座ってみることを強くおすすめしたい。
私は男なので具体的には解らないが、ハイヒールを履いたままで、自分に合う椅子を探すのは至難の業のように思えるが、どうだろう。

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株式会社古今研究所 代表取締役
稲生一平

アートディレクター、陶芸家
1942年生まれ。大手広告代理店に勤務後に独立。異色のプロデューサーとして活動。
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